治療

群発頭痛は一年のうち、限られた数週間から数か月の間に集中的に毎日毎晩起こります。その期間、異常な興奮状態を脳は繰り返します。患者さんはご自分の群発期間をよく把握しましょう。『寝つきの悪さ』『夜間の突然の覚醒』『顔面の額のあたりの赤らみ』などの起こりそうな予兆として挙げられています。このような症状が現れ始めたら、すぐに専門の医師を受診しましょう。そして、頭痛発作の予防薬を処方してもらい服用することが大切です。

高濃度の酸素吸入

昔から有効であるとされています。医療機関で純酸素をゆっくりと15分くらい吸入する方法です。また平成30年度診療報酬改定により保険適応になりましたが、現行の治療で軽快される方には保険適応になりません。重度の群発頭痛の患者さんのみ対象になっております。ちなみにスポーツ用品として販売されている酸素スプレー缶では数分でなくなるため効果は得られません。

スマトリプタンの点鼻薬

片頭痛の頭痛発現時にも用いられます。鼻腔内投与する方法です。また群発頭痛は鼻汁を伴うことが多く反対側の鼻粘膜から薬液を吸収させる法がより有効と考えられています。おおよそ15分ほどで効果が現れてきます。こちらは保険適用外です。

スマトリプタンの自己注射

皮下に自分で自己注射する方法を指導してもらい、皮下に自分で自己注射する方法です。スマトリプタンの点鼻薬は15分で効果が現れます。しかし、自己注射の場合は注射後5分くらいから効果がでます。したがって自己注射は群発頭痛の激痛から逃れる最も有効な方法かもしれません。ただし注射に抵抗がある方、注射を人前ですることに抵抗する方が多くいるため、あまり普及されていません。なお、唯一保険適応の治療法です。詳しくは、一般社団法人 日本頭痛学会『付録 スマトリプタン 在宅自己注射ガイドライン』をご覧ください。

リドカイン

表面麻酔薬をスプレーで鼻粘膜に撒布する一番手軽な治療法です。これは30%くらいの群発頭痛の患者さんにのみ有効とされております。しかし医療保険適応になっておりません。

またスマトリプタン以外のトリプタン製剤の錠剤や口腔内崩壊錠(速容錠)でも効果が得られることもあります。担当の医師と相談のうえ、最も有効な発作回避法やトリプタン製剤を選ぶことが大切です。

予防薬

発作が多い(月3、4回以上)、頭痛がひどすぎるなど、何らかの理由でトリプタンが使えない、予防した方が経済的に安い時などは、予防薬を毎日飲むこともあります。月10回を超えそうであれば(例えばトリプタンを月10回内服する状態)薬物乱用頭痛となり、薬からの離脱が難しくなります。そこで、予防薬を用いて避けるという場合もあります。なお、内服開始後、約半年で効果判定を行います。
例:製品例 ミグシス、クリアミン、インデラル、デパケンなど

予防

発作期間中、アルコールは控えましょう

群発期には、少量のアルコールでも頭痛を誘発する場合があります。群発期が過ぎれば飲酒をしても頭痛は起こらなくなります。

規則正しい生活を送れるように心掛けましょう

特に春先や秋口、年末年始など頭痛が起こりやすい時期の生活リズムを崩さないよう心掛けましょう。

禁煙をしましょう

喫煙は、群発頭痛の誘因であるという明確な根拠はありません。ですが群発頭痛のある人には喫煙者が多く、群発期は禁煙することが勧められます。

就寝時間は不規則にならないようにしましょう

長時間昼寝をしたりすると、予想外のタイミングで頭痛が起こることがあります。なるべく同じ時間に頭痛が起こるようにしますと、自己注射などの準備ができます。

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